今回で3記事目になる炭焼きの記事。
1つ目は炭の作り方(原理編)、2つ目はなんで炭を作ろうと思ったの?(ストーリー編)…
そしていよいよ今回は、炭の作り方(実践編)です!!
千田窯の炭の作り方を写真で説明するとともに、なかなか分かりにくい炭の種類についてお伝えします。
「備長炭」ってよく聞くけど何が違うの?BBQに一番いい炭は?
など、炭についての疑問についても調べてみました。炭、奥深い…!!!
目次
炭の作り方(実践編)写真で紹介していくよー!
なんで木を燃やして炭になるの?と気になる方はコチラ↓の記事をチェック!
記事の内容を簡単にまとめると、木を酸素が少ない状態で燃やし、十分に熱くなった時に酸素を入れないことで、
炭素と炭素がつながって炭になるんですね!原理が分かったところで、炭を作っていきます。
この記事で紹介するのは、備長炭の「白炭」ではなく、「黒炭」の作り方です!
➀木を切って、窯に入れる。これが一番大変なんじゃ…?
まず、木を切る(!!)
これが、おそらく一番大変なのではないかと思います…!
▲窯には、一度に1tほど入ります!量としては、写真の木の約3倍ほど。ひゃー…!!
もちろん、この木は買ってきたものではなく、生えている木から切ったもの。
炭の原料となる木は、手入れができなくなった林から、手入れをする代わりにもらっています。
もちろん、生えているのは原料になる木ばかりではないので、原料にならない木も手入れを…って想像するだけで大変。
ボランティアの一環としてやっていらっしゃるのがとても素敵です。
ある程度の大きさに切った木の長さを調節します。
▲1本1本バラバラな木の長さを、ある程度揃えます。流れ作業で、木を持ってくる人・切る人を分担して。
ドーム型の窯に合わせて、長さを調整しながら切っていきます。
一方、窯の中では次々に木を入れていきます。
▲できる限り隙間がないよう、立てて置いていきます。木の入れ方で出来栄えが変わるんですって。
作業をするのは、師匠・安水さんの甥っ子さん。ずっと中腰でしんどい中、
「次からちょっと長めでお願いしますー!」
と、窯の中から声を出します。
入口まで入れ終わったら、レンガを積んで隙間がないように粘土で封をします。
▲空気が漏れてしまうと、酸素が入ってしまうのでうまく炭になりません。慎重に、隙間が無いよう丁寧に詰めていきます。
隙間があると、空気が出るので分かるそうですが、できるだけ隙間を作らないように丁寧に詰めます。
毎回これをやるんだ…!とびっくりする丁寧さ。
木の調整~ここまでで、大人4人で5時間くらいでしょうか。一人ではなかなかできない作業だな、と実感。
いよいよ、火を入れていきます!
➁3~4日間火を絶やさず燃やし続ける。2週間後にはもう炭に!
▲一度火を入れると、3日~4日は火を絶やさずに燃やし続けます。
着火してからは、絶対に火を絶やさないように火の番をします。
煙の臭いが、酸っぱい臭いになると火をとめ、酸素が入る入口をふさいでしまいます。
高温の中、無酸素状態を作ることで炭素が重合し、炭ができるんですね。
炭の状態を、煙の臭いで判断するところに職人のワザが出るそう。煙の臭いなんて、気にしたことない…!
タイミングを間違えると、火が付きすぎてボロボロになってしまったり、まだ炭になっていないのに止めてしまったり。
まさに、職人のワザが出るところですね…!
その後、自然に冷えるのを待ち、2週間後に窯出しを行います。
③冷えたら、もう炭に!使いやすい大きさにカットしたら、完成~!
▲わぁ!もう立派な炭ですね!!
窯を開けてみると、もう炭!!中に入らせてもらいましたが、2週間経った後でもまだ暖かいんです(!)
熱が残っていることにびっくりしました。
▲窯出し後の炭がコチラ。様々な大きさの炭ですが、木の形のまま少し小さくなり、軽~くなります。
自由奔放な長さ・曲がり方の炭に、「手づくりなんだな~」と思わせますね。
これを、一定の長さに切りそろえて…「あ、よく見る炭っぽい!」
▲もちろん、カットも手作業です。すごい…!
▲カットされて、見慣れた炭になりました!綺麗に長さが揃っています。
最近はじめた、ふるさと納税の返礼品には、これを丁寧に箱詰めして配送しています。
重さが一定になるよう、計りながら箱詰めを行います。
▲形も大きさもバラバラだったものが、綺麗に箱詰めをされます。
じゃーん!綺麗に箱詰めされて、完成です。
奥深い炭の種類。作り方や種類をまるっと紹介!
前回の記事で、「備長炭を作るのが夢」と話す師匠・安水さんのお話を載せました。
ですが、そもそも炭の種類ってよくわからない…!ということで調べてみました!
大きな違いとしては、➀製法の違いと➁原料の違いがあります。
➀製法の違い 固くて長持ち白炭と、火が付きやすい黒炭
炭の作り方は、大きく2種類あります。
➀白炭も➁黒炭も、最低限の酸素でゆっくり燃やすのは一緒です。
水分が抜けて、木全体が熱くなったあと…➁の黒炭は、酸素が入るところを塞いで自然にゆっくりと冷やします。
➀の白炭を作るには、酸素を入れてさらに温度を上げていきます。(ネラシというそう)
温度が上がって、炭が金色に(‼)なったときに、窯の中からかきだして、灰をかぶせて急速に冷やす!
とっても高い温度から急速に冷やすことで、キューッと縮み、カチンコチンの固い炭ができあがるんですね!
灰をかぶせて冷やすので、炭の周りに白い灰が付くことで、「白炭」と呼ばれるそうです。
今、千田窯で作っているのは➁の黒炭ですが、➀の白炭が備長炭の製法。これからチャレンジする予定です。
白炭の作り方は、酸素を入れるのも窯の様子をみながら、深夜であっても1時間に1度くらい入れ続け…
徹夜の状態で、あっっっついところからかきだす…信じられないくらい大変な作業です。。。
➁原料の違い 木の違いで、燃え方も変わる。
大きく2分すると、A天然の木を使うか、Bおがくずなどを固めたものを原料にする方法があります。
千田窯は全部生木から炭を作っているので、Aの天然炭になりますね。
天然炭とひとくくりに言っても、木の種類によって様々な炭ができます!
「お茶炭」は燃え方にも風情を。菊のように燃える菊炭
クヌギの木の炭を「菊炭」と言います。確かに、上から見ると菊みたいに綺麗に咲いていますね!
囲炉裏で火をおこすと、菊のようにきれいな燃え方になります。
茶道で使われる「お茶用の炭」は菊炭なんだとか。正確には、木の皮が付いたものが「お茶炭」なんだそう。
燃えた炭すらも風情があるって素敵ですね!
備長炭に使われる木「ウバメガシ」樫の木は炭の最高峰!
樫の木は、成長が遅く、目が詰まった木。炭になると、とても滑らかな断面ですね。
ウバメガシを➀の白炭を作る製法で作ったときに、「備長炭」になるんですね!
目が詰まっているので、なかなか燃えないですが、一度燃えると長~く続きます。
お米を炊くときに最適!ミネラルたっぷりの竹炭は、燃やさない使い方がたくさん
炭と言えば燃やすもの…という印象がどうしても強いですが、竹炭は燃やさない使い方がとっても豊富!
ミネラルがとても多く含まれ、小さい穴がたくさん開いている竹炭は、臭いやカルキを除去する上、ミネラルを増やします。
靴箱に置いて消臭に使ったり、水に入れると要らない成分を除去し、その上ミネラルを増やす。
燃やして暖を取るだけではなく、多種多様な使われ方をします!
番外編 なんでも炭になるんです!まつぼっくりの炭!?
炭の作り方をすると、なんでもちょっと小さくなって炭になります。
まつぼっくりの炭がコチラ。
真っ黒な松ぼっくりが…!少し小さくなっているのが分かりますね。
木でなくても、折り紙やバナナ(!)など本当に何でも、少し小さくなって炭になるんですって!
いろいろ試してみたいです。
結局、普段使いには何がいいの?炭について調べて分かったこと
▲これ、全部違う種類の木なんです…!木の違いって意識したことないですよね!
さて、いろいろ紹介しましたが…実際に何使えばいいの~!と思った方も多いのではないでしょうか。
結論はこうだ!
➀BBQに使うには黒炭!火が付きやすくて立ち消えしない。樫かクヌギがおすすめ!
➁日常使いには竹炭・備長炭を!お米や水・脱臭など本当に万能。
最高峰だから備長炭がいいんじゃないの!?と思うかもしれませんが、
備長炭は固くて火が付きにくく、玄人向けの炭です。気軽なBBQなら黒炭を使いましょう!
一般的に安価で販売されている炭は、マングローブの木のものが多いそう。
マングローブの炭は、火付きがよく安価ですが、早く燃焼してしまい、煙や臭いが出てしまうようです。
樫・クヌギの炭は、燃えやすく煙や臭いも少なくBBQには最適のバランスがいい炭です。
樫は一度着いたら長持ちしますし、クヌギは菊のように燃える様子を楽しめますね!
今度私も、キャンプで使ってみたいと思います!
一方、日常使いには竹炭か備長炭がおすすめ。
水洗いして煮沸するだけで様々なシチュエーションで使うことができます。
ご飯に入れて一緒に炊くと、古米の臭いを取ってくれたり、黄ばみをとってくれたり…万能の一言。
水も、フィルターがなくても炭を入れるだけで濾過ができ、さらにミネラルを補給できるので一石二鳥です。
炭、すごい…!!!!
取材を終えて
初めは「炭焼きって何!?」と思っていましたが、聞けば聞くほど面白く、どんどん調べてしまいました。
「木を燃やして炭を作る」って、それだけ聞いたらシンプルな作業ですが…
木の種類や作り方によっても様々な炭ができて、本当に面白いな~と思いました。
ガスや電気がまだなかったほんの数十年前は、こうやって炭を作って生活していたんですね。
私もキャンプをするのですが、炭を起こして作ったご飯って本当に美味しいし、火で暖を取ると落ち着きます。
情報があふれている現代、視覚や聴覚からの刺激に慣れてしまっているそうです。
キャンプが流行っているのは、情報過多の時代、自然の中で五感を使って過ごすことに憧れを感じるから、という見方もあるそう。
豊かに・文明的になっていく一方、炭焼きのような「昔ながらの体験」が価値のあるものになっていくのかもしれません。
とりあえず、私は炭を使いたくなったので、千田窯の炭でBBQに行って飯盒ご飯を炊きたいと思います!(笑)
趣味で窯を作り開拓時に出る雑木で炭を作っている?毎回ほとんど失敗しますが、な者です。写真で見れて勉強になります。窯を暖める作業の前粘土で入り口を塞いだときの空気口の高さと大きさが知りたいです。3日間、もやし続けるのは燃焼室ですよね。燃焼室の奥行きと燃やし初めの時も中段位の高さで始めるのでしょうか?ネラシ作業は空気口をどこまであけるか知りたいです。本日窯を塞いできましたが白煙のままで時間かかると思い窯の入り口を開けたらほとんど灰になってました。(-_-;)青色から透明な煙になるはずなのにならなかったのは何故かわからない状態です。宜しくお願い致します。
素晴らしく熱心で、分かりやすかったです。ままさかの同郷だったのでコメントしました。
私は鹿屋出身横浜在住のS50年生まれです。
焼き鳥自分で焼いてみたくて備長炭知りたく勉強させてもらいました!連休どこも行けないので家族でバーベキューしようと思って、これからも頑張ってください鹿児島ファイト‼️日本ファイト‼️