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志布志の激レアさん…炭焼きが趣味って何!?千田窯ができるまで

先日、炭焼きについて取材をし、「炭ができる原理」についてお伝えしました。(記事はコチラ

取材に行った「千田窯」では、メンバー7名全員が本職を別に持ち、趣味で炭を作っています。

「趣味で炭を作る」…ってなかなか聞かないですよね?(笑)

何で炭を始めたんですか?とメンバーの一人・岩本さんに聞くと、「囲炉裏を作っててね、そこから…」

いやいや、囲炉裏もなかなか作らないですって!さらに話を聞くと、

「囲炉裏の前に、石を彫っててね、それが…」

もう何の人なんですかっ!!?(笑)

ということで、炭焼きメンバーのお話を洗いざらい聞いてきました。

「備長炭を作るのが夢」「誰でもDIYができる場所にしたい」と、各々目を輝かせて話す様子は、大人として本当にカッコイイと思います。

さらに、趣味の炭焼きのために作った施設が、地元の子どもたちの体験の場にもなっていました。

きっかけは、囲炉裏づくりから!?炭焼きをはじめるまで

「石膏が苦手」が悔しくて岳野山の十二支を作り始め、囲炉裏を作り炭焼きを始めちゃった岩本さん

炭焼きをするようになったのは、最初から「炭を作る!」と決めていた訳ではありません。

炭焼きの中心メンバー・岩本さんは趣味で「彫り物」をしていたそう。

中学生の頃、岩本さんは図工で石膏を使って像を作ることが苦手でした。

苦手だったことすらすっかり忘れていた矢先、旅行先の中国で、即席で粘土で顔を作る職人さんに出会いました。

見ていたら、「あれ?できそうだな…?」と思い、昔できなかった悔しさもあり彫り物を始めてみることに。(笑)

写真は、毎年初日の出を見に多くの人が訪れる有明の絶景スポット「岳野山」。

初日の出を見るにはぴったりの絶景スポットですが、野原と小さな神社があるのみでした。

「せっかくたくさんの人が訪れるから、何かできないかな」

と思った岩本さんは、ネズミ年の1996年、ネズミの像を作り初日の出を見に来た人を迎えました。

できるかな?で始めたクオリティじゃないですよね!(笑)

その後、毎年初日の出に間に合うように石像を作り、今では十二支全部の像が岳野山にあります。

年が変わったんだ、と目に見える形のものを作りたかった、と話す岩本さん。

途中、猿を作ったときに、ほとんど人だ!と思い、人も作れるんじゃないかな?と思い始めました。(笑)

十二支を作り終えた今は、昔ながらの遊び「馬乗り」で遊ぶ子供たちの様子を掘っています。

「仕事に疲れた時は、石を彫るんです。」と話す岩本さんが楽しそうでわくわくしました。

と同時に、余計疲れないだろうか、と心配になりました。(笑)

岩本さんが、次に作ったのは囲炉裏。囲炉裏を作ると、「うちにも作って!」と話が舞い込み、30台ほど作ったんじゃないかな、とのことでした(‼)

昔ながらの囲炉裏を作り、暖を囲炉裏でとるようになると、たくさん炭を使い…1シーズン3万円くらいの炭を使っていたそう。

それなら、どうせなら炭を自分たちで作れないかな(‼)と思い、囲炉裏を作ったメンバーで炭焼きの師匠を探し、師匠・安水さんと出会います。

炭焼きの師匠・おじいちゃん仕込みの炭を教える安水さん。

そうして出会った師匠・安水さんは、小学生の頃勉強が嫌いな子どもでした。

でも好奇心旺盛で、炭焼きをするおじいさんのあとをず~っとついていっていたそう。

夢中になっておじいさんについていき、炭焼きを覚えた安水さん。

二十歳を超えたころ自分の家に窯を作って自分の家でも炭焼きを始めました。

その後、炭焼きの師匠を探していた岩本さん達と出会い、窯から一緒に作り2年前に千田窯ができました。

▲立派な炭焼き小屋です。粘土や石を集めるところから手作り。

そんな安水さんの次の目標は、備長炭を作ること。「死ぬまでに作りたいのよね」と笑う安水さんが素敵でした。

子どもの体験広場としても活用。身の回りの物を工夫して、何でも作っちゃう穴見さん。

最初は自分たちで使うための「炭」を作りたい、と始まった千田窯。

雨の日に作業がしにくいと屋根を付け、3日間の火の番が辛いと仮眠ができる家を建て(えっ⁉)、どんどん過ごしやすい場になりました。

以前紹介したカフェわんどの山元さん(記事はコチラは定年を迎え、志布志にUターンしました。

山元さんは帰ってきてから炭焼きメンバーに加わり、何でもすぐに作ってしまうことに驚いたそう。

▲写真左前が山元さん。しばらく作業をしたら、少し甘いものを食べたりして休憩。もちろんテーブルも椅子も手づくり。立派…!

別日の取材では、このベランダを使って有明の「土曜体験広場」が開催されていました。

地域の子どもたちが20名ほど、毎月いろいろな体験をする土曜体験広場。

この日は、竹を切ってできた麺棒でうどんを延ばし、手作りのうどんを食べます。

うどんができる前に、「焼き芋が焼けたよ~!」と差し入れをもらいました。

ほっくほくの焼き芋!!とろっとして美味しかったです…!!

この焼き芋、実は給湯器の燃料タンクを活用してできています!

こちらが石焼窯。蓋を開けると、お芋を置くスペースがあり、下から火を入れます。

しばらくすると、子どもたち特製のうどんが出来上がり…

▲野菜もお肉もたっぷりなおうどん。太かったり細かったりするのも味わい深い。

炭焼きメンバー、私にもうどんを分けて下さり、おなか一杯になるまで美味しくいただきました。

この、うどんを茹でる窯にも秘密が!

ジャーン!使わなくなったヒューム管です!!!!(地中に埋めている水道管)

炭焼きで使っている粘土でナベを固定し、下から炭で火を焚きます。ぴったんこでナベがハマって気持ちいい!

この発明は、最近は木工に飽き足らず金属の加工に移り始めた、穴見さんの発明。

身の回りの物をなんでも活用して、工夫してなんでも作っちゃう。大人ってかっこいいな、と思いました。

趣味から始まった炭焼きが、子どもたちの教育の場であり遊びの場になる。

炭を作るための原料は管理できなくなった土地の木を伐って、できた炭はふるさと納税を通して全国に送られる。

とっても優しく、素敵な循環だと思いました。

炭焼きメンバーそれぞれの目標…夢を語る大人ってかっこいい。

誰でもDIYできる場にしたい。作ることが好きな岩本さんらしい目標。

千田窯を、誰でも気軽に使えるDIYできる場にしたいと話す岩本さん。

炭焼きメンバーは、設備内の施設も作ってしまいます。

▲石を切って作業がしやすい所に作ったピザ焼き窯と、DIYキッチン。屋根がしっかりあるので雨風しのげます。

▲炭焼き窯の屋根も、雨に濡れるから、と作りました。照明が足りないところには電気を引き…あっという間に使いやすくなっていきます。

DIY…の例として家はハードルが高すぎますが(笑)、私も取材当日作りたいものの相談をしました。

最近キャンプにハマっていて、以前からやってみたかった「きこりのろうそく(スウェーデントーチ)」。

丸太にチェーンソーで十字に切れ目を入れ、真ん中に着火剤を差し込み燃やすと、まるでキャンドルのようにきれいに燃え上がります。

20分程度で作ってくれましたが、通販などで購入すると3,600円もします。

▲いつか作りたいです!とお伝えすると、「今作ってあげるよ」と、ものの20分で完成。ありがとうございます…!!!!!

DIYって、やってみたいけど設備も揃えないといけないし…揃えるなら作ったより買った方が安いかな、なんて思いますよね。

けど、自分で作った世界に一つだけのものは少し不器用・不格好でも可愛いし、大事にします。

千田窯が色んな人が気軽にモノづくりできる場になったら…と考えるとわくわくしますね!

▲炭にも遊び心を。松ぼっくりを炭にしてみたり、バナナを炭にしてみたり。(笑)毎回が実験です。

「死ぬまでに備長炭が作りたい」最高峰の炭を作るのが夢の師匠安水さん

炭焼きの師匠・安水さんの今の目標は、「備長炭を作ること」。

備長炭と言えば、炭の種類を知らない私でも知っている、「高い」「有名」というイメージの炭ですよね。

特殊な方法で手間をかけ、原材料も「ウバメガシ」でしか作れない貴重な炭なんです。

火はなかなかつきにくいのですが、一度ついたらなが~~~く燃えます。

例えば、うなぎのかば焼きは、炭で焼いているイメージがありますよね。

職人さんからすると、備長炭を使うことで何回も炭を変えないで済み、余分な煙が出ずウナギに熱のみ伝わります。

備長炭の断面はもはや金属のような光沢があり、釘も打てる固さ。急速に冷やすことで、圧倒的な硬度を誇ります。

▲備長炭の断面。てかってかです!!備長炭同士をたたくと、(((カーン)))と響く金属音がします。

備長炭の原料であるウバメガシが志布志市ではあまり採れなかったため作ることを断念していましたが、

視察に行ったところ他の木でも備長炭に近い炭ができることが分かったそう。

「死ぬまでに備長炭が作りたい」と笑いながら話す目がきらきらしていて、目標がある大人の格好良さを感じました。

「ここがいい所だから、目に見える形にしたい」四季折々の花を植える穴見さん

話は変わって、千田窯があるところは、千田花公園の真上。

千田花公園は、今の時期には満開のアジサイが咲き、蛍が飛び…秋にはヒガンバナが咲き…四季折々の花が楽しめる公園です。

▲昨年の千田花公園の様子。様々な種類のアジサイがきれいに咲いていました。

芝さくらに始まり、菖蒲(ショウブ)、ハス、ヒガンバナ、そばの花と飽きることなく花が咲きます。

お花のお手入れをしているのは、きこりのろうそくを作ってくれたなんでも発明家・穴見さんです。

蛍が自然に来るほど綺麗な水がせせらぎ、鳥の鳴き声がする千田花公園。

「この場所が良いところだから、ちゃんとみんなが来れて、目に見える形にしたい」と、花の手入れをされています。

菖蒲、あやめ、ヒガンバナを土手という土手に、なんと1万球以上(‼)手植えしました。

▲子どもたちが水辺で遊んでいる様子を見ると、こういう思い出って本当にプライスレスだな、と思います。素敵。

取材を終えて

「田舎って、何もない」という人が多くいます。

与えられる娯楽は、確かに都市圏よりは少ないと思いますが、自分で作ることが楽しいと思う人からすれば、

「田舎だったら、何でもできる」なのかな、と思いました。

さらに炭焼きメンバーの素敵なところが、「やりたい」と「誰かのために」が両方あるところ。

あくまで主軸は「やりたい」ですが、「せっかく初日の出を見に来る人のために」「この場所がいい場所と伝えられるように」など…

自分だけじゃなく誰かが嬉しい形を自然にとっているのも本当に素敵だなと思いました。

でも、大義名分が前に出るのではなく「やりたい」が軸。無理はせず都合が合えば行くし、合わなければお休みする。

そういった、各々が軸を持っているからこその気軽さ・居心地の良さも感じられ、カッコイイなと思いました。

炭焼きメンバーのように野心あふれる、好きなことを好きな人とできる大人になりたい、と思う取材でした。

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2 COMMENTS

重留ヒロ子

NHKで放送されてネットで検索しました。
冬は火鉢で暖をとっていますが、良い炭と出合えず探しておりました。

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炭おじさん

和歌山で炭焼きしてます。
ウバメじゃなくてもあらかしやナラでも立派な備長炭できますよ!是非チャレンジしてください😄

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