市報しぶし1月号では、志布志高校の「総学の取り組み」について特集をしました。
特集では2年生の取り組みをメインに取り上げましたが、総学の目的としては、自分の興味がある分野について
考え、探求し…進路を見つめる時間でもあります。
この記事では、今年の3月に卒業する3年生の2人にお話を伺い、
志布志高校の「総学」の取り組みをどう感じているか・これからの進路についてインタビューしました。
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上ノ園 智也さん
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恒成 紀希さん
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また、話をしてまちの課題と、2人の志布志愛を知り…志布志市のみなさんに知ってほしいことがたくさん。
この記事では、インタビューほぼ全編をお送りします!
総合的な学習の時間とは?
教科を横断し、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育成する時間。学校ごとに取り組み方は異なる。
志布志高校では学年ごとにテーマを分け、今回の特集では2年生を主に紹介。2年生は、6分野のうち興味がある分野に分かれ、おおよそ4人のグループで1つのテーマについて研究・発表する。
(詳しくは市報をチェック!)
3年生の2人は、志布志商店街について調べ発表。商店街の外の人が志布志商店街を応援する応援団を作ってはどうか、という提案をした。
*2019年に学習指導要領が変わり、現1年生からは総合的な「探求」の時間に変更。
目次
進路と総学…地域のことを教えれる先生になりたい。
「そんな考え方もあるんだ!」と知れて、柔らかい考え方ができるようになった
Q3年間を通して、総学で変わった意識などはありますか?
総学をやってて、引き出しが広くなって、考え方が柔らかくなったと思います。
学校の先生や地域の方に話を聞き、それぞれ色んな考え方があって「こんな考え方もあったんだ」と知りました。
例えば1年生の時には、大学生や地域おこし協力隊の方々と一緒に「志布志市の困りごと白書」を考える機会がありました。
▲1年生の時の恒成さん。アンケート班として、自分たちで作成したアンケートを取り「困りごと」をまとめました。
地域についてアンケートを取ること自体も初めてだったんですが、「まちづくり」の考え方が変わりました。
今までは「良いところ」を見つけてそれを発信することが「まちづくり」だと思っていたんですが、
大学生や協力隊の方と話して、弱いところに目を向けてどうしたら「強み」になるかを考えることも大切だと思いました。
アンケートで志布志市の問題について考えたんですが、「志布志市について若者が知らない」ことが問題という結果になり、
もっと町のことを知りたいと思い2年生では商店街について研究しました。
▲日南市の商店街にフィールドワークに行きました。「電車で乗って行った甲斐があったよね」
▲志布志市の商店街にあるフォトスポットでパシャリ。行ってみるまで知らなかったそう!この写真が志布志中学生の中でちょっとバズったとか!?
お話を聞くたび、色んな考え方を教えてもらい、引き出しが増えて頭が柔らかくなった気がします。
そういうことって、勉強だけだと身につかない部分だと思うんですよね。
総学があるから、今の自分があると思います。
自分の町の良さを教えてあげられる先生になりたい。総学を通して変わった進路
Q進路について、総学を通して感じたことなどはありますか?
- 恒成
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僕は元々、英語の先生になりたいと思っていました。
総学で地域のことについて学び、
「調べれば、もっと知れるんだ。地域のことを知らないといけないな」と思ったんです。
逆に言うと、調べたらもっと知れるっていうことも知らなかったな、って。
アンケートでは、若者が帰って来ない理由は「自分の町の良さを知らずに出て行ってしまう」ことが問題ではないか、という結果になりました。
進路について考えたときに、自分が社会の先生になって授業でその町の良さを教えていけたらいいなと思って、
今は社会の先生になりたいと思っています。
外に出て行っても、戻ってきたいなって思ってもらえる教育ができたらいいなって思います。
- 上ノ園
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僕は、地元の鹿児島県で警察官になりたいと思っています。
鹿児島は若者が減っていて、超高齢化社会です。
高齢者の事故とか嘘電話詐欺なども心配です。どうやったら、若者が鹿児島に残り、そういった事故や犯罪を防止できるのかな、と考えました。
一緒に働き、地域のことを考える若者が増えればいいなと思っています。
総学と町づくり…高校生が志布志市に求めることは
意見交換の場が欲しい。考える人を増やすことが必要だと思う
ー総学を通して、大人と関わることが多かったと思いますが、大人にやってほしいことはありますか?
意見交換会をやってほしいなと思います。高校生はこう思っています、と伝える場が欲しいなって。
僕たち自身でできることは少ないけど、こういう風にしたらいいんじゃないか、と考えることはできると思います。
自分たちだけで考えていたら、僕たちには出来ない理由も分からないので、
案を出して、これはこういう理由でできないんだよ、と教えて欲しいなと思います。
何ができないのかを知ることで、自分の町の現実も知ることができるのかなと思います。
上ノ園くん
実際、分からないもんね。志布志市の予算で何ができるのかとか。
町全体で考えれば、変わるんじゃないかと思います。考える人の数を増やすことが大切なのかなと思います。
「意見持ってる人おいでー!」みたいな。
社会の教科書に載っていたんですが、意見がある人は広場に集まるみたいな…そんな場があれば良いなと思います。
多分お年寄りは来ると思うんですが…若者ってどれくらい来るんでしょうね。
恒成くん
勉強できるカフェと、進路相談ができる環境。志布志高校生が欲しいと思う場所
ー町に、こういうのがあったらいいのに!と思う場所はありますか?
上ノ園くん
勉強できる場所が欲しいですね!
高校生が集まれる場所って、サンキューなんですよ。
ご飯を食べるならジョイフル。ジョイフルで勉強するとお店に迷惑がかかるので…
静かな場所で、商店街に勉強できるカフェがあったらいいのに、と思います。
他にも、大学生とかが帰省するときに進路の相談とかできたらいいなと思います。
案はいくらでも上がるんですけど、どうしても「誰がやるのかな」ってところで終わってしまうんです。
就職して帰ってきたいと思っているけど、警察官も先生もお互いに勤務地が分からないところだし…
帰ってきたいけど、帰って来れるのかな、という部分が不安です。
恒成くん
上ノ園くん
「産婦人科が欲しい」という話も聞いたことがあります。
「地元で子どもを産みたい」って。
どうしても近隣の市でしか産めないけど、住んでいる土地で生みたいと聞いたことがあります。
助産師になって戻ってきたいっていう人もいます。
まちの人へー移住者・中学生・市民の皆さんに知ってほしいこと
志布志の若い人に、もっと志布志のことを知ってほしい
中高生が(自分たちも含めて)この町のいい所をちゃんと知った方が良いのかなって思っています。
総学をやって初めて知ったことが多くて「商店街に、こんな建物があったんだ」とか…
歩いてみないと分からないところがあるなって思いました。
商店街のシャッターのイラストの前で写真を撮ったのを志布志中学校でのプレゼンで発表したら、
お祭りの時に「写真の人ですよね!」って声かけてもらえたりしました。(笑)
上ノ園くん
反響があって、嬉しかったです。(笑)
僕たちは、知って「どうしよう」で2年生が終わってしまって…発信方法をどうしたらいいのかなって思っています。
Q移住者に伝えたいことはありますか?
志布志市はゴミ捨てが厳しいじゃないですか。移住者には、本当に大変なことだと思うんです。
僕も串間から引っ越してきたので、最初は大変だった気がします。
でも、志布志で育った先輩は他の町に行って、家に生ごみがあるのが耐えられないらしいです。
燃えるゴミに生ごみを入れるのにも抵抗があって、生ごみをいつでも捨てられないのも嫌だなって。
ゴミ捨て一つとっても、いい面もあると思うんですよね。
でも、そういうことをどう伝えたらいいのかが僕たちも悩んでいます。
恒成くん
Qこれから高校生になる中学生に向けて一言、何かありますか?
志布志高校の特徴は、総学が一番大きいかなと思います。
志布志高校で今のような総学ができるのは、人数が少ないからだと思うんです。
少人数のグループが組めて、分野ごとに分かれて発表することに、規模がちょうどいいからできるのかなと思います。
総学をやったから、進路につながっている部分もあるので、やってよかったと思っています。
先生たちも優しいしね!
恒成くん
志布志高校は進学校だけど、僕は警察官になりたいので公務員の勉強についても教えて下さって、
「頑張れよ!」って言ってもらえて、頑張ることができました。
▲あの…志布志高校のアピールも含めてもらえませんか?いい所なので!(笑)と話す2人。いいなぁ。
先輩方も、優しいです。体育祭の練習の時なんかは、上下の繋がりが出来て仲良くなります。
上ノ園くん
温かい高校だなと思います。志布志高校しか知らないんですけど(笑)
昨年僕たちの代は、「こういうことについて調べているので、発表させてください!」ってお願いして志布志中学で発表させてもらったんですが、
今年は志布志中学校からお声がけいただいたと聞いて、とても嬉しいです。
できれば他の中学校でもそういうことができればいいなと思っています。
志布志中学校でも、総学のような取り組みをすると聞いてとても嬉しいです。
恒成くん
Q2人は、2年生の発表を聞きに来ていましたよね。聞いて、どう思いましたか?
老人ホームと幼稚園を組み合わせて、ちゃんとイベントを作って行動できたのがすごいと思いました。
昨年は学校の外にでて調査をするフィールドワークをやったのは僕たちの班しかなかったんですが、
今年は発表したほとんどの班がやっていて、フィールドワークが当たり前になっていて。
僕たちの発表を良いと思ってもらえたのかな、と思ってすごく嬉しかったです。
ー時代を作りましたね!文字通り。
上ノ園くん
そうですね(笑)汽車に乗って行った甲斐があったよね。
Q最後に、志布志市に戻ってきたいと思いますか?
「「はい。本当に思っています。」」
本当に思っているんですよ。
恒成くん
いい所なのに、どうやって伝えたらいいんだろう、って思っています。
イオンとか、大きな店が来て栄えたからいいところってわけでもないと思うんですよね。
僕たちは油津に行ったんですが、「私も行ってみました」と書いてくれた人もいて。
真剣にプレゼンを聞いてくれたのも嬉しかったです。
僕は前に串間に住んでいたんですが、「くしま学」というのがあって。
串間の教科書があって、小中高と串間について学ぶ授業があるんですが、そういうことをしても良いのかなと思います。
取材を終えて
長編インタビューになりましたが、高校生たちの言葉をほとんどそのまま掲載しています。
いかがでしたでしょうか?
高校生の時の私は、まちのことは二の次で…正直自分の進路のことしか考えられなかったな、と思いました。
取材に応じてくれた2人は、案を出す度「案は出るんだけど…どうしたらいいのか分からない。自分たちは学校があって動けない」という課題を口にしていました。
とても立派だなと思うと同時に、案をどう生かしたらいいのかな、と考える取材でした。
以前取材をした副市長インタビューの際、上の世代との折り合いに苦労したことを踏まえ、責任世代になったときにどう若い人を応援できるかだと思うとお話されていました。
志布志に住む大人も、高校生など若い人の意見を聞きたいし、応援したいと思っています。
いずれにせよ、志布志が大好きということを懸命に伝えようとしてくれていてこっちも嬉しくなりました。
進学・就職と未来に向かってがんばれー!!!!
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