2017年3月3日、68歳の時にカフェわんどを開業した山元さん夫婦。
志布志市出身のお二人は、43年間関東で過ごし、定年後親の介護をきっかけに志布志に帰ってきました。
志布志市役所には毎週月曜日に、カレーパンやベーグルなどお野菜たっぷりのお弁当を持ってきてくれます。
春には菜の花やスナップエンドウ、自家製のハムを挟んだベーグル、先週の冬瓜スープにはゆずが効いていたり…
私にとって、市役所のお昼ご飯で季節を感じられるのがとっても嬉しく、毎週楽しみにしています。
そんな季節を運んでくれる山元さんご夫婦ですが、くに子さんがカフェで働き始めたのはなんと65歳!
義久さんは、志布志で最近仲間に加わった炭焼きに夢中。
「好きなことをそれぞれ、やっている感じ。」
くしゃっと笑う姿が印象的でした。
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目次
志布志で育ち結婚。勤務先の関東でも家庭菜園は続けた。
くに子さんが松山出身で、義久さんが有明の出身と、お二人とも志布志の出身です。
独身時代に肢体不自由児の就労支援施設で働いていたくに子さんですが、
たまたま地元に帰ってきたときに結婚し、仕事の都合で千葉に住みました。
千葉の社宅に住んでいましたが、近くを散歩して畑をしている人を発見し…
- くに子
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田舎で育っているから、畑がないところって寂しいじゃないですか。
すぐに畑を借りて、家庭菜園をしていました。 その後、川崎・横浜でも畑を借り、
畑作業はやめなかったね。自分で育てた有機野菜で、子どものおやつを手作りしたり…趣味でね!
子どもが大きくなってから、保母さんとして定年まで働きました。
定年後、ふらっと寄った就労支援施設のカフェ…「おかえり」と聞こえた
定年まで働いた後、義久さんのお母さんの介護で鹿児島に帰ってくる予定でした。
私も帰ろうと思ったんだけど、ひょっこり近くにある就労支援のカフェに行ったんですよ。
そしたら、利用者さんが笑顔で迎えてくれてね。
昔働いていたものだから、ふるさとに帰ったような感覚になって、
本当に「いらっしゃいませ」が「おかえり」って聞こえたの。「ただいま」って気持ちになって。
そしたら、「働いてくれないか」と声をかけられてね。
63歳から5年間、30歳の若い人と利用者さんで、全くやったこともない仕事をやりました。(笑)
鹿児島での介護もあるから、鹿児島に行ったり帰ったりしながらね。
カフェのところで働いたり、朝6時からパンを作ったり。本当に面白かったですよ。
▲折り紙で作ったわんどの看板は、その時の利用者さんが作ってくれた宝物。大事に飾っています。
義久さんの実家の土地に、くに子さんの実家の木を使って建てた「わんど」。
義久さんのお母さんと、「お茶を飲むところがあったらいいね。」と前々から話していたそう。
そしたら、義久さんのお母さんが亡くなってしまって。
でも亡くなる前の年に土地を埋めて家を建てれるようにしてくれていて、
「やっぱりこの土地でやろうか」って言ってね。
うちの実家の木をシルバー人材さんに切ってもらって…
なんだかんだカフェが始まりました。
「わんど」ってね、川のスンクジラ。
流れが緩やかで、色々な生き物が住み家にする場所なんです。
いろんな人のたまり場になって…話をして情報交換する場所になったらな、と思って始めました。
去年の3月3日、お雛様の日にお茶会をしてお披露目だったね。
田舎は、やる気があればなんでもできる。面白い仲間との出会い
やりたかった「炭焼き」から、仲間ができた。
横浜にいるときに「やりたい!」と思っていたから、「お父さんやってやって!」ってね。(笑)
でも、強制ではないから。みんな趣味だから、お互い忙しいときはごめんね、って。
大変になって追われてしまうと、趣味じゃなくなっちゃうから、回数を決めてね。
たまに、終わった後に飲み会をして、カラオケもやったりね!
仲間のことも自分の楽しみに。
雨の時に屋根が欲しいね、って言ったら材料を持ち寄って作ったり、
花が見える公園だけど足が悪い人には急な坂だから、
おばあちゃんのためにベンチを作ったりね。
面白いメンバーでね。蛍をもらってきて増やして川で育てていたり、芝桜を植えたり。
十二支と七福神の銅像を作っている人もいるんですよ!
今は炭小屋の片隅で、昔ながらの遊び「馬乗り」をしている子どもたちを掘っていますよ。
「義久さん、猜ケ宇都に子どもが8人増えっじなぁ」って言われてね(笑)
出来上がるのが本当に楽しみ。
帰ってきて本当に良かったのは、こういう色んな人との出会い。本当に楽しいですよ。
もちろん、横浜もすごく好きだし、横浜から友達が来てくれたりするのもとっても楽しみなの。
やっぱり、志布志って居心地が良いんでしょうね。
わんどのこれから。仕事終わりに一息つく場所に。
季節の果物・野菜を丁寧に仕込むくに子さん。
取材をした12月は、キウイのシフォンケーキと、ローゼルという真っ赤なハーブティーをいただきました。
▲ハイビスカス・ティーの原材料であるローゼル。お墓の花なのに食べれるの!?と地元の人にびっくりされたそう。
▲真っ赤できれいなお花を、お茶やジャムにしていただきます。目が覚めるほど美しい赤いお茶は、美容効果も期待できます。
▲小さいけれど、甘さは天下一品の実家で採れたキウイ。ジャムにしてシフォンケーキに練りこんで。ほどける食感で美味しい。
軽トラで仕事終わりに来れるような場所を目指して
「仕事終わりにお茶を飲んで、ほっと一息ついてもらえたら嬉しい」と話すくに子さん。
こちらは気を使わないけど、足が汚れていると入りにくいかもしれないから…
お話を聞きながら、まだまだ変わっていくわんどが楽しみになりました。
▲くに子さんの実家の木が、温かく柔らかい雰囲気。日が差し込んで明るい店内です。野鳥のさえずりが気持ちいい。
▲最近、本を置いたのよ!と教えてくれました。コーヒーを飲みながら、音楽を聴きゆっくり本を読む時間…とっても素敵。
▲何よりほっとするのが、お二人の柔らかい雰囲気。照れたように笑う義久さんと、明るく優しいくに子さんが待っています。
カフェNOIKURA わんどお店情報
お母さんの介護を行いながら、カフェをやっています。行く前にお電話を!
場所 :〒899-7402 鹿児島県志布志市有明町野井倉1609
電話 :0994-74-0173
営業時間:ランチ・ディナーともに要予約
カフェは、行く前にお電話でお問い合わせください。
毎週水曜10:00~14:00は、オレンジカフェ(認知症の方を含めてだれでも参加OK)を開催
(毎週月曜は、志布志市役所有明本庁にお昼のお弁当を出張販売)
*民泊も始めました。お電話にてご相談ください!
取材を終えて
お二人が、目をキラキラさせながら「楽しいですよ」と言ってくれたのがとても印象的でした。
「来年は酵母から起こして天然酵母のパンが焼きたいの。昔作っていたのがとっても好きでね」
「市役所の人に野菜を食べてほしいから、10種類の野菜をスープにしたのよ!」
「民泊を始めたんだけど、とっても楽しいわね」
まだまだやることがたくさんあって、わくわくしている二人を見て、
「私もこんな年の重ね方をしたいなぁ」と思いました。
東京にいても野菜を作っていたり、65歳からカフェに勤めてみたり…
環境がどうあっても人生を楽しく過ごせる方法があり、それを実現してきたお二人だと思います。
疲れた時には、お二人に話を聞いてもらって、美味しいものを食べて…明日から頑張れる。
カフェわんどが、そんな場所になりそうです。
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